二ヶ月ぐらい前の話を今するのは今更感が否めないけど、今年の出来事は今年のうちにってことで、広島旅3日目。
台風が来おった。
例年なら台風なんてとっくに季節はずれとなっているというのに、どういうわけか台風が続いた今年の秋。 旅の計画を立てている段階ではmutaさんも荒れてもせいぜい雨程度だろうと思っていたのですが、出発の数日前に、まさかの台風関東直撃。 さらにとどめをさすかのように二発目の台風が遥か南の沖で発生。
この二発目がどうも旅の間に日本に当たるかもしれないという不吉を連日天気予報がおっしゃっているから、旅の始まる前も間も不安でしょうがなかった。 mutaさんももう若くないのでさすがに台風の中、自転車漕ぐとか勘弁なのです。
しかし、本来の予定であった法事の日程はずれせないので、どう転がろうと実行あるのみでした。
で、どうなったかというと、幸い台風は直撃せず、南の沖合いを陸地を避けるように東へと抜けいくコースに入ってくれました。
しかし、直撃は免れたものの台風に影響で前線が不安定になり、3日目の天気はどこもかしこも雨を予想。 雨天走行は免れない状況になりそう・・・。
こうして、迎えた3日目の朝。
天候は・・・・くもり!?
どうやらまだ天気がもってくれているみたい! これは雨が降る前に少しでも距離を稼いでおきたい。 これはチャンスだ! 絶対に逃がすな!!
というわけで出発だ!
さて、今日の予定はここ竹原からフェリーで大崎下島まで行き、そこからこれまた島々が橋で繋がった道『とびしま海道』を通って呉を目指します。
ちなみにこのとびしま海道、東側からの正確なスタート地点は大崎下島のとなりのとなりのとなりの島の岡村島かららしいですが、竹原からフェリーが出てないし、天気もいつくずれるかわからんので、今回は岡村島を周らずに大崎下島からスタートです。 いやー残念(棒)
が、問題発生。
竹原からも大崎下島行きのフェリーがなかった!
「あれー、事前に調べたときには便があると・・・」なんて昨日と同じ言い訳を自分にしてみるが、不毛なので解決策を調べる。
するとどうも竹原から出ているのはフェリーでなく高速船らしい。 折りたためば荷物っぽくなる自転車もさすがに高速船に乗っけてもらうのは忍びない。 そもそも乗船拒否されそう。 そうなるとやはりフェリーで行くしかない。
大崎下島に発着するフェリーの寄港地で竹原から行けそうなところを逆引きしてみると・・・、
あった!
大崎上島!
またかよ!!
しかも、出るのは昨日の島の東にある港ではなく、島の南にある別の港からときた。 行き先によって港がバラバラじゃ島民は不便じゃないんだろうか? 一緒だったら楽なのになあ。 特に私が。
しかし、他に手段もないので、大崎上島経由で大崎下島を目指すことに。 ちなみに到着した港は昨日ありがたいご忠告をしてくれた方。
約20数分の船の旅で大崎上島に到着。 天候はまだくもり。 売店で道中の水分の確保と軽い朝食を済ませ急ぎ出発。
海岸沿いの平坦な道だけで済むわけもなく、それなりのアップダウンを体験すること一時間あまりで、目的の港に到着。 都合よくやってきたフェリーに乗って大崎下島へ向かう。 これでようやくスタートライン。 天気はまだくもり。 がんばっているようだ。
大崎下島に到着。 すると待っていたかのようとうとうに雨が降り出してしまった。
仕方がないので雨具に着替えてから、街並み保存地区なる古い建物が残る場所を観光、ついでに早めの昼食をとる。
とかのんびりしていたら、雨が上がっていた。 にわかってわけではなく一時的に持ち直したみたい。 もともと降っていた雨もそれほど激しいものではなかったので、地面は水溜りではなく湿った程度で済んだ。 走行には問題ないだろう。 そう思って本格的に呉を目指して自転車を漕ぎ出した。
しかし、現実は甘くなかったァァッ!!!!
しばらく、島の南を走っていたが、もう不安になるくらい誰ともすれ違わない。 車の往来もなければ、歩いている人もいない。 地図では一本道なので大丈夫なはずなのだが、こうも何もないとなんだか不安になってくる。
すると丁度目の前に周辺地図が書かれたと思われる看板が見えてきた。 こりゃあいいやと、歩くほどの早さで近づいてたところで事件は起こった。
・・・・・ツルッ!
痛てぇ!
あ、新手のスタンド攻撃か!!?
いえ、横滑りで転倒したのです。
たしかに、雨の後の湿った路面に後方重心のミニベロ、極めつけがうっかり履き替え忘れてたスリックタイヤ。 そりゃこけるわ。
だからあらかじめ予想ができたから注意しながら走っていたのだけど・・・、まさかマンホールでも側溝の金網でも速度が出た坂道でもなく、ただちょっと湿ったアスファルトの平地でこけるとは思わなかった・・・。
あまりに予想外のこけ方だったので摩擦を奪われたのかと思ったわ!
まあ幸い速度を緩めていたので左脛をフレームに強打して打撲程度で済みましたし、周りに本当人がいないから転倒の瞬間を目撃されませんでした。 でもこれが大きな怪我だったら発見が遅れて大変なことになったかもしれない、と思うとぞっとしますわ。
というわけで、ここから下り坂だろうと平坦な直線だろうと制限速度15km/h以下厳守のスーパー慎重タイムを開始する。
ちなみに、なんで15km/hかはただこれくらいの速度なら何とか対応できるだろうと思っただけで深い意味はないっす。
地味に痛い膝の打撲を堪えながら、隣の豊島に繋がる豊浜大橋(全長543m・無料)に到着。
ここも確かに島と島を繋がる橋という千葉人にとっては珍しい光景で、それなりに大きな橋ではあるのだが、正直、しまなみ海道のでっかい橋を通った後だと、なんだか小さい印象を受ける。 うーむ、橋渡り慣れしてしまったか・・?
豊島に渡ってしばらく本格的に雨が降ってきてしまった。 そんななかとある出来事を体験する羽目になるのだが、諸事情により全カット。 後日別枠で語ります。 そうなるとこの島ではほぼ語ることがないとっとと先に進める。
次の橋は一文字違いの豊島大橋(全長903m・無料)。 ここを渡れば次の島、上蒲刈島。
上蒲刈島の道中はトンネルが多かった(長かった)。 視覚的に窮屈さを感じるトンネルの側道を自転車で走るのはなかなか怖いので正直勘弁して欲しいのだが、反面雨にぬれなくて済んでいることには安心するので複雑な感覚だ。
ところでトンネルというといつも雪国の一説を思い出してしまう。 あいにくこれまでの人生でトンネルを抜けた先が別世界という体験をしたことがない。 いつも期待はしてしまうのだが、結局は普通の景色が広がっている。 いずれどこかで入り口とは違った景色が広がるという体験をしてみたいものだ。
ではここ、上蒲刈島はどうだろう。
トンネルを抜けると、そこは・・
採石場だった。
写真ではわかりづらいけれど、広範囲にわたりかなりの山肌がごっそり削られている光景に思わずシャッターを切らずにはいられなかった。
ベルトコンベアー的な運搬装置がこの採石場から道を挟んで反対の海に伸びていたので、察するに運搬船を装置の下に着けて置けば採った石を直接船に放りこんで目的地に運搬するのではなかろうか。 だとしたら実に合理的な立地なんだろうと一人関心してしまった。 その反面、こんなに山を削ってしまう人間が恐ろしい。
雨は相変わらず降る。 どころかますます強くなっていく。 そのうえ風まで出てきた。 台風というほどではないが、それなりに強いので橋を渡れるか心配になってくる。
次の島に渡る橋の手前に道の駅があったのでいったん休憩をとることに。
あまりの雨に地元の猫も雨宿り。
売店で軽く腹に入れてから次の島、下蒲刈島につづく蒲刈大橋(全長・480m)を渡る。
で、渡った先すぐのところにある下りのカーブでまた滑った。
注意はしていたのだが、前輪取られてしまったのだ。 ハンドル操作でなんとかバランスをとろうと頑張ってはいたのだが、どうも戻れそうな手ごたえがない。
人間とは不思議なもので、この瞬間「あーこりゃこける。 絶対こける。 今度はさっきと違って車の往来がそれなりにあるカーブだし、スピードも控えめにしてはいたけどそれなりに出てるから、転んだら痛いだけじゃ済まされないだろうなー。 まあいいやー」と、わりとあっさりと覚悟を決めてしまっていた。
でも、転ばなかったけどね。
とっさに両足を地面に突き出して、そりの様に滑っている間にバランスを修正したことでなんとか事なきを得たのだ。
頭よりも体が先に動いた結果で、もちろんこんなことするのは初めて。 それでも何とかなったのだから危機的状況に陥った人間の行動ってすごいもんだ。 後から考えると車高の低いミニベロじゃなきゃできないよね、これ。 まあ、そもそもミニベロだからバランス崩したんだろうけど・・・。
そんなことがあって、ここからさらに慎重に走るようになった。
というかもはやおっかなびっくり神経使いながら集中しながらの運転となった。
おかげで下蒲刈島での思い出がこれ以外思い出せないというか、気がついたら本州に繋がる最後の橋、安芸灘大橋(全長1175m・自転車無料)にやってきてた(言い訳である)。
最後の橋ということで本来ならば今回のラスボスみたいな場所なのだが、天気のせいで景観は悪いし、さっきの事でそういうところに神経回ってないわで、もはやただの通過点となっていた。 しかし、晴れていれば心躍る光景がみられたかもしれないと思うとやはり晴れているときに渡りたかった。
というか、さっきから風がますます強くなってきているから橋渡るのがすごく怖いんですよ。 マジで・・・。
それでも行かねばならない。 止む気配のない雨と強い横風に耐えながら橋をわたる。 やっぱり怖い雨と風。 こういうときは自転車に乗るもんじゃないと改めて感じながらもなんとか本州の地にタイヤをつけることができた。 そのとき私の中にあったのはとびしま海道を渡りきった達成感よりも、無事渡りきることができた安堵だけでしたよ。
でもまだ終わりじゃない。 宿に着くまでが旅です。
安芸灘大橋から呉の市街地まではそこそこ離れている。 当然自転車で移動。 登りだったり長い下りだったり、車の往来の激しい国道(?)だったりと雨のなか走るのはまたも遠慮したい道のりだったけど、これまで走った島々の道に比べたらも普通というか、千葉でも良くみる形状の特に特徴のない道だった。 言っちゃ悪いがもはや消化試合。 漕げば着くような道中。
で、漕いでたらついた。 戦艦の街『呉』。 提督が鎮守府に着任しましたってか。 まあ私は元舞鶴の大湊なんだが。 なにはともあれ、無事(?)到着できてよかった。
今日の走行距離。 昨日より長いのは意外。 まあたいした差ではないが。
それと速度制限のせいでブレーキを多用したためか、このころにはおもっきし握っても全然ブレーキが利かなくなっていた。 疲れたけど直さねばなあ。
明日は、江田島周辺を走る予定・・・。
どうしようもなくオタク。
たぶん一生オタク。
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